チーズについて

チーズの起源、チーズがどのように作られるようになったか?

チーズ作りは、今から8000年前に中近東を中心とした西アジアから始まったといわれています。チーズの伝播は西アジアからモンゴルへ伝わる第1の流れと、トルコ、ギリシャを経てイタリアへ至る第2の流れがあります。

ある伝説によれば、昔アラビアの商人が羊の胃袋に乳を入れラクダで砂漠の旅に出た。のどが渇いたので開けてみると乳は白い塊と水になっていた。そして彼はその塊を食べ、汁を飲んだ。この話はチーズ製造の原理を含んでいます。すなわち太陽で温められた乳はその中にいた乳酸菌を増殖させ、羊の胃袋には凝乳酵素(レンネット)があり、それが発酵した乳に作用し乳を凝固させる。さらに移動中に揺さぶられることにより、カード(乳が凝固したもの)とホエー(分離した水分)に分かれた。この手順が現在のヨーロッパでのチーズの作り方の原型である。

レンネットは子牛や子羊の胃袋にある酵素で、ヨーロッパではこのレンネットを使用する製法が一般的であるのに対して、アジアではレンネットを使わず乳酸発酵や加熱によってカードを取り出す方法が発達し、インド、ネパール、チベットなどでこの種のチーズが作られている。日本の牛乳豆腐といわれるチーズも加熱と酸によって乳を凝固させるタイプである。レンネットタイプより古く素朴なタイプである日本の牛乳豆腐も、典型的なアジア型チーズです。

ヨーロッパのチーズ作り

ヨーロッパタイプのチーズは中近東で生まれ、トルコ、ギリシャを経てイタリアに伝わる。イタリアへ伝わったチーズは、ローマ帝国の発展と共に大きな進歩を遂げる。従ってヨーロッパでのチーズ製造技術の基礎は、イタリアでローマ帝国時代に整備されたといわれ、その技術はローマ軍がヨーロッパ各地に軍隊を駐留させることで、ヨーロッパ各地に広がりました。

チーズといえばフランスというイメージがありますが、ヨーロッパにおけるチーズの源流はイタリアなのです。その後、それぞれの風土や民族性により、フランスでは早く熟成し保存期間の短いソフトチーズが主流となり、スイスでは保存期間の長いハードタイプのチーズが主流になっています。

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イギリスでもローマ人の手によってチーズ作りが始められ、やがてイギリス人自身の手によってチェダーチーズやスティルトンなどのチーズが作られ、それを支配した植民地に持ち込み、現在では世界でも最大の生産量を誇るまで至っています。それに対してフランスは修道院やフェルミエといわれる農家製のチーズが主婦の手によって工夫され、多くの個性的なチーズを生産するに至っています。

11月11日は「チーズの日」

古代日本に百済から伝わった醍醐や「そ (蘇)」も、加熱によって牛乳を凝縮して固形分をとる方法で作られていました。この「そ (蘇)」は現在も奈良県で作られています。実は11月11日をチーズの日としたのは、この史実に由来するのです。 700年、文武天皇は遣いを出して旧暦10月に「そ (蘇)」を作らせた。旧暦10月は今の11月で、覚えやすいようにと11日にしました。

日本におけるチーズ作り

日本人の乳利用は鎌倉時代以降ぱったりと途絶えるが、江戸時代、幕府によって千葉でオランダから輸入した白牛3頭で「白牛酪」が作られた。日本ではじめてヨーロッパタイプのチーズの製造が本格化するのは、明治以降のことである。また、わが国で初めてチーズが作られたのは、奇しくも北海道道南の七重勧業試験場で明治8年のことです。その後、トラピスト修道院や雪印乳業、明治乳業などの手によってチーズ製造が始まりました。第2次大戦が終わると食の洋風化が進み、プロセスチーズが給食メニューに登場し、チーズの消費は確実に増加しました。

日本のチーズ消費の特徴は、ナチュラルチーズよりもプロセスチーズの消費が多いことです。ヨーロッパではチーズといえばナチュラルチーズを指し、日本ではプロセスチーズを指します。戦後、日本ではプロセスチーズが主流となり、日本人がチーズといえばプロセスチーズであった。プロセスチーズとは一般にゴーダチーズ(オランダ)またはチェダーチーズ(英国)を原料にし、これらを加熱殺菌して乳化剤であるクエン酸Naを添加して固めたものである。一昔前の日本ではナチュラルチーズといえば、ゴーダ、チェダー、カマンベールであった。日本で個性的なナチュラルチーズが盛んに作られるようになったのは、ここ10年のことです。この10年くらいでナチュラルチーズの需要が増大し、道内でもナチュラルチーズを作る工房が増え、現在では50以上あるといわれています。

ナチュラルチーズを作る上で重要なのは、牛乳の品質です。日本の酪農の歴史は浅く、戦後以降急速に発展しました。当時の牛乳はナチュラルチーズを製造するに十分な品質ではありませんでした。しかし、現在では酪農家やそれを取り巻く多くの人の努力によって品質も上がり、なかでも釧路地域で生産される牛乳は、道内でも上位にランクされる良質な牛乳となりました。そのことが良質なナチュラルチーズの生産を支えています。

現在、釧路地域では白糠酪恵舎だけでなく、「大友チーズ工房」「横井牧場」「厚岸チーズ工房なんくる」があり、それぞれ特長あるチーズを製造しています。

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