先輩の声

パートタイムからスタート!?

柔和で優しい印象の及川さんは、相手の話を丁寧に聞き、質問には常に適切な答えが返ってくる。彼の言葉には芯の強さを感じ、多くの大人は若かりし頃の彼に勝手な期待を膨らませたことだろう。25歳で酪恵舎にくるまで、いくつかの転職を経験していた及川さんは、上司や会社から与えられる「過度な期待とプレッシャー」や、それに「応えきれない自分」に頭を悩ませていた。働くのが怖いと感じたこともあったし、他にやりたいこともあった。だから酪恵舎に入ったときは週に3日のパート社員として。「チーズ工房で働きたいという明確な意思ではなく、生活のための仕事を探していた」という。

及川 由博さん
(40才・15年勤務)
1982年生まれ、釧路育ち
高校卒業後、製薬メーカーへ。製造ライン勤務からいきなり本社会長秘書への移動を命じられ、プレッシャーから退職。その後いくつかの仕事を経て、25歳で白糠酪恵舎にパートとして入社。当初製造希望ではなかったため、掃除・チーズパック・発送からスタート。その後チーズカット、パック、発送、営業補助、配達を経て、チーズ製造を担当。現在は後継者としてすべての仕事をみながら、日々チーズ作り修練中。
食べたチーズとリンクした時、ここで働きたいと思った
酪恵舎のことは、知人の紹介で知りました。「大変な仕事だけど、考え方もはっきりしているし、熱意のある仕事をしている。人として正しい会社だと思う」と言われ、よくわからない思いを抱えたまま面接の前にチーズを買って食べてみたんです。無理な味がどこにもない、自然なミルクの味がしました。これがおいしいというより正しいということかと、知人の言葉が少し理解できた気がしました。彼が言っていた「まじめさ」「真剣さ」が、食べたチーズとリンクし、もし働けるならここで働きたいと思ったんです。
実は30歳までパートで課長、現在は工房の「後継者」として師匠・井ノ口さんから日々指導を受けています
働き始めて5年がたつ頃、だんだん違和感を感じるようになりました。井ノ口さんはじめ先輩たちはみな、朝から晩まで全身全霊を傾けチーズに情熱を注いでいる。チーズの美味しさとか、手先の器用さとか、テクニックとかではなく、そういう生き方がカッコいいなと思いました。
一方僕はどうだろう…、このままだと中途半端なまま人生が終わってしまいはしないか?と。自然とそう考えるようになり、正社員になりたいと自分から申し出てフルタイムの社員になりました。
尊敬する先輩の死を乗り越えて
僕の転機は、尊敬している先輩の突然の交通事故でした。失敗しても、何があってもチーズが好きだという思いにあふれていました。この人から指導を受けながら、自分が成長していく姿をイメージしていましたし、ずっと一緒にチーズを作るんだと思っていました。あの時、先輩は僕に「もし死ぬならやりきるまで働いてからにしろ」というメッセージを残していったのだと思います。今は、人生最後の日は、製造室で迎えたられたらと本気で思っています。僕が彼の思いを引き継がなきゃ、先輩も僕も後悔すると、先輩の分も成長できるように…。
そうは言ってもくじけそうなときもあります。そんな時には、社長であり師匠である井ノ口さんがいつも大切な言葉をかけてくれます。「当たり障りない仕事をしていた人生観を捨てて、(必死で頑張っている)今の人生観で生きろ」と言われた言葉は今も心に残っています。製造時には管理記録に加えて体調やメンバー、出来事なども残すようにしていますが「できないのなら細かく記録して小さな課題を見つけろ」と言ってくれたのも井ノ口さんでした。よく僕のことを見てくれていると感謝しています。
「やればやるだけ自分が成長できる」
作ったチーズには、その時の自分がそのまま出ます。集中しきれず違うことを考えていたり、イライラしたり、睡眠不足だったり等、コンディションが悪いと出来上がるチーズが大きく変わってしまうんです。腕の振り、ストローク、足の動かし方…1つ1つが全部結果にでるから。見た目は一緒でも全く異なるチーズになってしまうのです。だから、必ず毎日製造の時のことを細かく記録して確認しています。
日々の製造の中にある小さな喜び
カード(※)カットを始めるタイミングが他の人とあったときは、よーし!と思います。凝固の確認のため乳に手を入れるタイミングがあうと嬉しいし、乳とのフィーリングが合うと自分の成長を確認できるんです。でも僕はまだ井ノ口さんのように乳の声はきけていない…。まだまだ先は長いです。
※カード:チーズの原料となる凝乳。
牛乳等に酵素を加え凝固させたもの。カードからホエイの一部を除去し、熟成させたものがナチュラルチーズ。

これから応募を考えている方へ

どんなに良いモノを作りたいと思っても、自分を変えることができないと、成し遂げられないことがある

毎日乳と向き合い、出来上がったチーズには素直にその日の自分が出ます。平凡な僕らだけど、酪恵舎は成し遂げようという及第点が高いです。工房に初めてやってきた多くの人は「努力していたつもりだった自分」「やっていたつもりの自分」「そこがてっぺんだったと思っていた自分」に気づきます。中には心が折れそうになる人や自分には無理かもしれないと思う人もいるかもしれません。でも目指す位置が違っていたと気付いた時に、自分を変えることを恐れず、新しい目標に向かって行きたいと思える人なら、僕らと一緒に仕事を続けられると思います。
酪恵舎の働き方は決してスマートではないし、洗練されてもいません。でも、「食べた瞬間に笑顔になるチーズ」を目指し、みんなが真剣にイキイキ働いています。僕は個々人の能力やレベルに関係なく、高い目標に向かって一丸となり働ける職場を誇らしいと思っています。他人が嬉しいと思うことを一緒に喜んだり、悲しいことを悲しいと思ったり。そういう仲間がいることは幸せですよ。

酪恵舎で得られる能力は技術ではなく「正しい人生を自ら創造できるようになる力」

酪恵舎は僕のように特別な才能を持たない普通の人間が、一生懸命汗かいて、ぶっ倒れる瞬間までチーズを作って、今日もイマイチだったな…って(笑)思いながらも、努力し続けていれば見守ってくれ、受け入れてくれる場所です。そういう不器用な一人一人を頼りにしてくれ、居場所を与えてくれる会社です。

酪恵舎で得られる能力は技術ではなく「正しい人生を自ら創造できるようになる力」です。
今、能力がなくてもあきらめない。失敗しても逃げずに、できない自分を素直に認め、反省して次に生かせる力をもつ、ちゃんと失敗できる人を僕らは大歓迎します。

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