イタリアンチーズについて

酪恵舎のチーズは、なぜイタリアのチーズか?

イタリアはチーズ発祥の地

イタリアは、チーズ発祥の地としても有名で、古くからさまざまな地域でそれぞれの風土を活かしたチーズが作られてきました。その数は、4000種類を超えるともいわれています。フランスのチーズも元をたどればイタリアのチーズです。頑固な国・イタリアでは、いまでも素朴な製法でチーズを作ります。

イタリアと日本の共通点は

酪恵舎のメンバーがチーズを作り始めたころ、何もわからずにモッツァレラとゴーダを作っていました。作ったチーズはみんなが家に持ち帰っていました。
ゴーダの方が食べなれているはずなのに家族は「モッツァレラがいい」と言います。不思議に思っていましたが、イタリアへ行ってみて納得することができました。

日本とイタリアはよく似ています。地理的にも南北に長い火山列島、日本は幕藩国家でイタリアは都市群国家、そのため地域性が豊かなのです。
野菜や魚をよく食べ、(タコも食べる!)北イタリアには広大な水田地帯があり、リゾットなどの米料理もあります。
料理においては、日本人が何にでも醤油を掛けるのに対し、イタリア人はオリーブオイルをかけます。素材の味をそのままに活かす料理という点でもよく似ています。
「日本人にはイタリアのチーズがあうんだ!」そう気がついた僕らはゴーダチーズを作るのをやめ、イタリアチーズを目指しました。

修行を積んだピエモンテ

白糠酪恵舎の代表・井ノ口が、チーズ職人になるため、修行の地に選んだのは、北イタリア・ピエモンテ州の「サルッツオ」という小さな田舎町。ここで製造される「ブラチーズ」というセミハード、ハードタイプのチーズを教わってきました。
「地域に乳製品の食文化を発展させたい」と思い、工房を作ることを考え、この白糠の地に合うイタリアチーズを探しました。そしてたどり着いたのが、カンパーニャの「モッツァレラ」とピエモンテの「ブラ」というチーズです。

ピエモンテのランゲ地区は丘陵地帯。鹿やイノシシなどのジビエがいて、トリュフなどの山菜やきのこがたくさんとれます。ノバーラという街の周辺ではヨーロッパ最大の稲作地帯があります。白糠は白糠丘陵と呼ばれ、エゾ鹿がたくさんいます。釧路地方の人たちは白糠を「山菜の街」といいます。白糠の山は山菜だけでなく、きのこやハスカップ、やまぶどう、こくわなども豊富です。
「これだけ地所の似ている地域で作られるチーズならきっと白糠にあうはずだ。」そうして酪恵舎は、ブラチーズの製造に取り組み始めました。

イタリアの地図

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現在販売されている、「トゥミン」は「トミーノ」を、「トーマ・シラヌカ」は「トーマ・ピエモンテーゼ」を、「テネレッロ・シラリカ」は「ブラ・テーネロ」を、「モンヴィーゾ」は「ブラ・ドゥーロ」を、「ロビオーラ」は「ロビオーラチェバモンドヴィタイプ」というチーズをモデルにしています。
もちろん、工房を代表する「モッツァレッラ」も「リコッタ」も「スカモルツァ」もイタリアチーズです。
モッツァレッラ、リコッタ、スカモルツァは南イタリアのエボーリにあるカゼイフィチョ・ラ・コンタディーナという工房の製法に沿って作ります。

もっと食卓にチーズを!~新しい食文化の発信を目指して

「チーズは漬物と同じ」とおっしゃる方がいます。フランスのデザートチーズであればその通りであると思います。
それに対して、イタリアのチーズは「味噌、醤油と同じ」。日本人が大豆からタンパクやエネルギーを得るように、イタリアではそれらを乳から得ています。そしてふんだんに料理に使い、フレッシュなチーズをどんどん食べます。

実は我々日本人には、「チーズはワインと一緒に楽しむもの」というイメージが強くあります。
しかし、それでは、チーズの楽しみ方の3分の1をも知らないといって過言ではありません。様々な料理に使い、いろんな熟成ステージでチーズを食べると、今までにない楽しさや美味しさに出会うことが出来ます。

地域の食材と合わせて、新しい味を提供することもできます。
豊富な山や海の幸に恵まれている白糠の特性を、イタリアタイプのチーズを使ってさらに活かすことができれば、きっと新しい食文化が発信できるのです。

僕らはチーズを通して、地域に根ざした白糠独自の食文化を発信して行きたいと考えています。
そう!みなさんと一緒に。

イタリアチーズとフランスチーズの違い

僕らがチーズを作っていて気がついたこと。
チーズというものは地域に根ざしていて、同じように見えてもそれぞれに特性があるということ。
チーズといえばフランスというイメージがありますが、それは「デザートチーズといえばフランス」というほうが正しいようです。
僕らが作るイタリアチーズとフランスチーズの違いを楽しみ方と製造方法の違いでご説明します。

食材として楽しむイタリア、デザートのフランス

フランスチーズは、食後のデザート前に残ったワインを飲み干すために味の濃いチーズになっています。
ラミュ・ドュ・シャンベルダンというチーズは、シャンベンルダンというワインを楽しむために作られています。
一方、イタリアチーズですが、これは食材、料理にどんどん使い、たくさん食べられるように作られます。ピッツァ、カルパッチォ、リゾット、みんなチーズを使います。フランス料理で有名なチーズ料理は知りませんが、イタリア料理なら枚挙にいとまがありません。

「チーズは漬物」という人がいます。それはフランスチーズのたとえ。
一方で、「チーズは味噌、醤油、豆腐」というのがイタリアチーズのたとえです。

食後に「ワインとチーズを少し」というひとときはとても贅沢な時間です。これはチーズの楽しみ方の醍醐味のひとつです。

さらに食材としてチーズを使うこと、それも料理に合わせて様々なチーズを使い分けること、それが新しいチーズの楽しみ方です。
この新しい楽しみ方をみなさんにどんどん伝えて行きたい。
美味しいチーズ料理に出会うたび、僕らはそう思うのです。

製造方法の違い

製造方法については専門的な話なので、一覧表にまとめてみます。
大雑把に違いを理解していただければと思います。例外も多くあるので、あくまでも一般的な違いの例です。

項目 イタリア フランス
使う菌 乳酸菌(高温菌)
ヨーグルトに使う菌
乳酸菌(中温菌)
酵母、カビ、細菌
ホエーの排除 カットで抜ききる。 カットは遅め、その後の加温、攪拌で残す量を調整する。
加温 高い温度まで上げることがある。 牛の体温以上には上げない。
外皮(チーズの表面) あまりコントロールしない。
ウォッシュタイプでも青カビが混在する。そのことはイタリアでは何ら問題にならない。
コントロールする。
きれいな外皮(表面)を作る。ウォッシュで青カビがついていたら欠陥チーズになってしまう。
製造の違いによる
チーズの特徴の違い
高温菌は穏やかなので、元の乳の風味が残り、素朴なチーズになる。
味は強い、弱いという比較になる。
ホエーを抜ききるので苦味は出にくい。
加温が高い温度なので、堅めになる。
保存性は高い。
中温菌は味を強くするので、全体として味は強め、様々な菌が関与するので、味が複雑になる。
ホエーが残ると苦味が生じやすい。
加温が低い温度なので、柔らかく仕上がる。
保存性は低くなる。

※ちなみに酪恵舎のチーズで高温菌だけで作るのは、モッツァレラ、トゥミン、トーマの3種類です。

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